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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
あたしは呼吸を整えながら、ベッドの傍で月に照らされて佇むサクラをぼんやりと見つめていた。
静かに、床に落とされていくサクラの服。
青白いサクラはまるで発光しているようで、神秘的だった。
もう何度目なのか見惚れているあたしの前で、サクラは筋肉が付いた男の裸体をさらしていく――。
ズボンも落とされて、あたしは思わず反対側を向いてしまった。
ようやくサクラと繋がれる……そんな期待と同時に、そこに行き着くのが少しだけ怖くなってきた。
ぎし…と軋んだ音がして、あたしの顔の横にサクラの手がついて。
ゆっくりと沈んだスプリングを感じたと同時に、サクラのさらさらとした黒髪があたしの真上に来ていることに気づいた。
「……怖い?」
黒髪から覗くその目は、情欲をたたえながらも酷く優しくて。
サクラの手が前髪を掻き上げ、あたしの額にキスを落とした。
「俺は怖い」
サクラの手があたしの頬に添えられ、サクラは揺れた目を寄越して困ったように笑った。
「長年、好きで好きでたまらなかったあんたを、こうやって抱くことが出来るのは夢じゃないかって。抱いてしまえば、この幸せな夢が覚めて、またひどく辛い片想いの日々に戻るんじゃないかって……」
そしてあたしの手を取り、あたしの目の前で手の甲にキスをした。
ゆっくりと伏せられたサクラの目。長い睫毛が震えているのがわかった。
まるで祈っているかのようなサクラの姿に、あたしの胸が疼く。
「夢じゃないよ……」
あたしは反対の手でサクラの髪を撫でた。
「あたしの想いまで夢にしないで」
サクラが泣きそうな表情であたしを見た。
「俺でいい?」
「サクラがいい」
間髪入れずに即答すると、サクラは嬉しそうに笑った。
どこか昔に繋がる無防備なその笑みに、あたしの身体は熱くなる。