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【SS】目が覚めたら…?
第28章 【ファン感謝】白雪姫 ③王子(モモ)
 
 あたしは両手でサクラの頬を撫で、そして首、胸とその手を撫でた。

 しっとりとした綺麗な肌。

 男であるのが勿体ないくらい。


 サクラは目を閉じ、あたしのしたいようにさせてくれていた。


 手がサクラの胸を少し下に落ちた時、傷痕を見つけた。


「これ……」


 それは直感――。


 その場所は、あたしが剣を刺したところではないだろうか。


「まさかサクラ……、あたしの疵を?」


 サクラは薔薇すら生き返らせる魔法を使えるのだ。

 もしかすると……。


 するとサクラは目を開けて、静かに微笑んだ。


「おかげで、俺は……おかしな力がなくなったらしい。ありがとう」

「ありがとうって……」

「ありがとう、俺に出会ってくれて。生きていてくれて……」


 サクラの両肘があたしの顔の横につき、上からサクラが被さってきた。

 頬を擦り合わせられる。


 触れあう肌がとても熱い。


「ありがとう、俺を愛してくれて」


 絡み合う視線に熱が籠もる。

 それは身体を蕩けさせるほどの熱情――。


 惹き込まれるように、ゆっくりと触れあう唇と唇。

 角度を変える度に、サクラの黒髪があたしの顔に掠めるように揺れた。


 夜の静寂に、濡れた音と互いの呼吸の音が響き渡る。

 直ぐ傍にある体温が愛おしい。溶け合いたくて仕方が無い。


「……っ、ん……」


 サクラの穏やかな息遣いは、唇を重ねる内に乱れていった。
 
 それを感じたあたしから、甘い声が漏れ出て。


 足を絡ませ、指を絡ませ……情熱を迸(ほとばし)りきれない身体がもどかしく動いて。

 どんなに唇を重ねて舌を絡めさせても、満足することがないのはなぜだろう。唇を離してもお互いの目にさらに扇情されて、蕩けるような口づけの余韻から抜けきれない。

 甘い視線に囚われてキスを繰り返しながら、サクラの手はあたしの乳房を揉み込んで、ゆっくりと優しく愛撫する。

 キスをしながら、与えられる刺激に声を漏らせば、サクラが小さく笑う。


「可愛い。もっと見せて……」


 サクラはこんなに甘い男だっただろうか。


「俺の顔見て、感じて?」


 こんなに愛おしげにあたしを見る男だったろうか。

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