この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
【SS】目が覚めたら…?
第29章 【白雪姫感謝】アナザー○○雪姫
ハル雪姫、今年36歳になるが未だ独身。
今まで求婚者はいたのだが、味見をしてはその味が気に入らなかったらしく、その難癖具合にもの申せる強者はどこにもおらず。なにより姫の方が相手より強すぎたため、いつのまにか求婚者がいなくなってしまった。
見目麗しいが、ふてぶてしすぎる姫の取り扱いに困った母、王妃は……、鏡に細工して、お告げを得たかのように演出をしてなんとか姫を城から追い出そうとするのだが、まるで出て行こうとしない。
苦言を呈しても、自城警備兵(ニート)になると言い切る。
縁談をことごとく潰される王妃はいい加減疲れ果て、姫の心を入れ替えさせるために、崖から突き落とすことにした。
姫よりも強い、"最強"の相手を見つける婚活に出ろと。そうでなければ、短小の醜男と結婚させると。そこでハル雪姫は、渋々と婚活の旅に出ることにした。
自分よりも強い男はどこにいるのだろう。
街では、姫を見るだけで皆が逃げていく。
仕方が無く山に入った姫。山の動物すら逃げ去る始末。
「ひとりは寂しいな……」
まるで老人のように呟いた姫は、木の切り株に座り煙草を吸った。そして携帯用の吸い殻入れに煙草の灰を落としていた時だ。
「手、手をあげろ!!」
木々の間から猟銃をつきつけ、少し言葉を噛みながら現れたのは、黒髪長身の男。一応荒くれ者風に猛獣の毛皮を着ているが、お似合いとは言い難い。胸には「サクラ」と名前が書かれてある。見るからにアウトドアタイプではなさそうだった。