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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ?
今くりぬき中のオレンジ色のカボチャを完成させ、頭に黒いとんがり帽子をつける。
あたしとおばさんが作っている大小様々なカボチャは、ハロウィンでよく見るお化けカボチャ、ジャック・オ・ランタン(Jack-o'-Lantern)というもの。
それのひとつを頂戴し、とんがり帽子の反対側の真ん中に、さらに大きく穴をあけて頭にそれを被った。
下は、これから着ようとしていたミニスカ魔女の黒い格好。黒いマントをつける。
あたしはボランティアのふりをして、ハル兄に差し入れに行こうと思いついたのだった。
意外に仕事は真面目なハル兄に、作りたてのパンプキンパイのプレゼントを。あたしだとわからないだろうから、仕事の邪魔にならない程度にさっさと帰って来よう。
そして――。
「お、お客さん……東大付属○○病院でよろしいので?」
「はい、お願いします!!」
道歩けば通行人が、タクシーに載れば運転手さんが、不審者を見るような眼差しをくれるけれど、今のあたしは心もカボチャのカボチャ魔女。
幸せをお届けするんです。
頭にカボチャをかぶったミニスカ魔女は、ナツから持たされた、チロルチョコの如く小さなパンプキンチョコが入った籠を持ち、スキップまでしてタクシーを乗り付けた大きな病院に入る。
怪しげなカボチャのご登場に、なにやら不審者を見るような白い目を向けられて、心は17歳はオトメらしくおしとやかに振る舞った。
広い。
そしてひとが多い。
こんなところに、ハル兄は勤めているんだ…。
「うわ~、はろうぃんかぼちゃさんだっ!!」
子供が多く寄ってくる。
アウチ!!
ミニスカめくるんじゃないの!!
わらわらわらわら、集まってくる!!
「かぼちゃまんだ~!!」
"まん"ではなく、"うーまん"じゃ!!
言いたいの堪えて、最初こそは相手にしていたが、この子供達…、かなりしつこかった。
蹴ってくるわ殴ってくるわ、衣装をとろうとするわ。
黒いストッキングまで破ろうとする不届き者までいる。
カボチャはお子様も知っているでしょうが。
珍しくもなんともないものだから、内科にいかせて!!
内科の帝王にこのパイを届けるだけだから。