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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ? 
 

 カボチャ魔女は病院内をうろうろ歩く。

 院内案内図の前で腕組みをして考える。

 どうも内科は小児科の横らしく、この姿で小児科に行けばまた子供達に絡まれるだろうと思い、逆から行くことにした。


 カボチャ魔女、喉が乾いて売店でジュースを買えば、レジのおばさんが固まっていた。


「袋はいりません」


 せっかくの笑顔はカボチャで見えないだろうが、百円玉とチョコを置いて早々に退散。

 人目ももう慣れてきて、皆にチョコを配って歩く優しいあたし。


「ここを曲がれば内科だわ」


 看板に従い広い通路を曲がったら、マントを掴まれた。


「――っ!?」


 着物を着て杖をついた、歯抜けのよぼよぼのお爺さんが、しっかとあたしのマントを握っている。

 白く濁った目から、強烈な"なにか"の光が芽生え、その目が大きく見開いた。なんだか嫌な予感に、この爺さまから離れようと試みた。



「あ、あの離して……」

「おなごじゃ」

「へ?」

「カボチャから、おなごの匂いがする!!」


 爺さまの鼻の穴が膨らんだ。

 これは、この爺さまの変身の合図か!?


 膨らんだのは鼻の穴だけではなかった。


「ひぃぃぃぃぃっ!?」


 カボチャ魔女、着物の裾を持ち上げるほどの爺さまの膨らんだ股間に、驚き逃げたいのだが、マントを掴まれては動けない。


「たすけ……」

「いててててててててて!!」



 さらにカボチャ魔女、驚くのは爺さまの悲鳴。


 カボチャ魔女、なにも致しておりません!!

 違います、あたしじゃないですから。


 診察を待っている人達から向けられた疑惑の眼差しに、あたしは両手をぶらぶらさせて見た。



「源蔵さん!!」


 その時ナースが出て来た。

 恰幅の良すぎるおばさまナースだ。


「これから診察だから勃起させないでといっているのに、なに勃起しているんですか!! 勃起したら痛いから来たんでしょう!?」

「すんましぇん……」


 途端に発情爺さまは小さくなり、大声で"勃起"連呼のおばさまナースに、襟首摘ままれるようにして診察室に入っていった。


『泌尿器科』


 あのおばさまナースより、こんなカボチャ魔女の方に女の匂いを嗅ぎ取るなんて……。


 好色爺さま、いつまでもお元気でいて下さい。


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