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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ? 
 

 しまった、噛んだ……。しかも二度も。

 どうしてあたしは、決めねばならない時に決められないのだ。


 だが逆に、外国の病名みたいな響きとなったらしく、恐らく負けず嫌いのナースが「ちって(知って)るわ」などと、またもや噛み噛み言ってくる。

 ああ、噛み噛みの奇病だと言えばよかったか。

 ええい、初志貫徹、いくのだシズル!!


「……という感染性の高い奇病……。御存知であるのなら、このカボチャの中で成長し続けるあたしの顔がどんなものか、おわかりですよね?」

「え……?」

 お化けカボチャから見えるあたしの目に、青ざめたナースが映っている。

「そこまで見たいというのなら仕方ないです。ただ……伝染しても知りませんよ。このカボチャは、ひとに伝染させぬようにと佐伯先生によって作られたものですが、これを外しますね」

 カボチャをとろうとした瞬間、ナースがあたしの手をとり、ひとつの診察室に連れた。



「佐伯先生、急患……リュハキエシャ患者です!! お願いします!!」




 そして――。



「リュハキエシャ……、言うのなら、二度も噛まずに一気に言ってみろ、お前、何年俺様の名前を見聞してきたんだ、シズ」


 診察机の手前にある回転椅子に、縮こまって座るカボチャ魔女。

 診察机の椅子には、白衣をきて長い足を組んでこちらを見る、偉そうな褐色の医師がいる。


 咄嗟に思い浮かべた奇病の名前、サエキハルの反対ルハキエサ。言おうとして二度も噛んでしまったリュハキエシャ。

 なんでこの男、一発で自分の名前だと気づけるのだろう。


「アタシハカボチャマジョデス。シズデハアリマセン」


 カボチチャの中は熱い。このまま蒸しカボチャとして食べれそうだ。

 ここはブツをとっとと渡して帰ろう。
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