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【SS】目が覚めたら…?
第30章 【ハロウィン企画】Happy Halloween ?
「あ、これ休憩にでもどうぞ。ハッピーハロウィン!!」
あたしは他人のふりをして、籠の中に入れていた、アルミで包んだパンプキンパイを差し出した。
佐伯医師の眉間に皺が寄る。
この空間は煙草の匂いがしないから、診察室では煙草を我慢しているのだろう。そしてボランティアにも邪魔されただろうし、苛々度が半端なく高い気がする。
「では!!」
カボチャ魔女、そそくさと帰ろうと立ち上がり、すちゃりと片手をあげた。だが動けない。またマントを掴まれているようだ。
「ハロウィンなら、言う言葉があるだろう」
背中越しに聞こえたハル兄の声。
カボチャ越しでも、この男の低い声は心地良い。
「ええと……」
不本意にも最初に禁じられた、あの言葉を思い出す。
「トリック・オア・トリート?」
ぎしりと、ハル兄が椅子から立上がった音がした。
「じゃあ、悪戯して見せろよ。シズ」
カボチャを取られるのは一瞬。
カボチャが机に片手で置かれたのと同時に、パンプキンパイを口にしていたハル兄が、パンプキンパイを口移しをしてきたのだった。