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【SS】目が覚めたら…?
第3章 Ⅱ.ナツと……

「淫魔がお休み中の体でもこんなによすぎるのに、波瑠兄は……、淫魔が目覚めている時、どうやって戦っているの?」


 戦う……、まぁ命がけで戦っているか、帝王は。


――……あぁ、すげぇ……。これは……すげぇ……ぞ、ぁ……っ、やべぇ……気持ちイイっての……越えてる……っ。


――……くっ、出直しだっ!


「ハル兄は……惚けたようになって、そして慌てて抜いて、吼えてまた挑んでくる。……そんな感じかな」

「……波瑠兄でも、惚けちゃうほど……いいんだ」

「ん……どうなんだろ。あたしは、よくわからないけど……」

「………」

「ナツ?」


 ナツはあたしの手を引いて抱き起こした。

 不自然な程に美しい微笑みを向けられる。


「しーちゃん、また神頼みしよう。また僕と何度もセックスできるようにって。淫魔さん眠ってて下さいって。祭壇の前で正座。で、お辞儀」

「か、神頼みって……散々不埒なことを見せつけた神様の前で?」

「不埒じゃないよ。神聖な儀式なの!! 巫女さんの踊りと一緒なの!!」


 ナツの中では神聖なものだったらしい。

 あたしはナツに言われるがまま、祭壇前で正座してお辞儀をした。


「しーちゃん、それならご主人様に平伏している奴隷だよ。いい、正座して……両手はこのへんでこう床に指先をおいて。そしてゆっくり頭を下げて……下げすぎ。このへんでいいんだ。それでゆっくり……だからそんなに慌てて頭下げたら、ご主人様に怒られた奴隷だって。ゆっくりゆっくり……ああ、とっても綺麗なお辞儀。乱れた着物姿で、なんて優雅で綺麗なんだろう」

「てへ」


 しゃん、しゃん、しゃん。

 巫女の踊る神楽舞の音を聞きながら、大和撫子目指して花嫁修業をしてきたナツに礼儀作法を教わり、褒められて照れたあたし。

 なんでナツが乱れた着物を直させないのか、なぜあたしだけが神様にお願いするのか。そしてナツがこんなことを言い出した契機が、ハル兄のことであるということにも気づかず。


 さらにはナツの微笑みの奥の燻った火と、誘惑めいた妖艶な香りに気づかずに――、


「ふふふ、綺麗だよ……しーちゃん。きっとこれで、神様も許してくれる」

「ん、許す?」


 後ろから、あたしの尻に手が添えられ……着物の裾が捲られた。

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