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【SS】目が覚めたら…?
第4章 Ⅲ.??
あのひとにとっての俺の立場がただのフォロー役でもいい。
俺の存在があのひとの心に刻まれているのならば。
嬉しい。
あのひとが俺を頼るのが。
嬉しくてたまらない。
あのひとが俺にだけ、我が儘をいうことが。
たとえ俺が"子供"であっても、きっと俺に向けるその顔は、ナツや波瑠さんには向けない……素の顔であるはずだから。
もっともっと俺を頼って。
もっともっと俺の名前を呼んで。
大嫌いな、女みたいな名前。
いつもいつも笑われ、からかわれてきた。
だけど貴方が俺を必要としてくれるのなら。
その名前すら愛おしい。
ああ、そう思えるまでに育ってしまったこの心をどうすればいいのか。
俺は……ナツを探しに弓道場から出た。
俺に妬いたナツを必死になだめると、あろうことかナツはあのひとを俺の前で陵辱し始めた。
動けない俺。
あのひとの……恐怖ながらも感じているその顔が綺麗で。
ああ……その顔をもっと見ていたくて。
だけどわかっている。
そんな顔を引き出したのはナツ、俺じゃない。
俺はただの当て馬だ――。
ナツが羨ましい。
あのひとを、堂々と抱けるナツが。
そう強く思いながら、酔っ払って地面で寝ている情けない姉貴達を確保して、帰路につく。
俺の心身はへろへろで、飲み物でも飲もうと近くのコンビニに入る。
「だからっ、どうして正月早々そんなこと聞くんですかっ!!」
ドアを開けると、レジで叫ぶ店員の女。
そして怒声を受けた客は……波瑠さんだった。