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【SS】目が覚めたら…?
第4章 Ⅲ.??
 


 1月3日――。


 やばい、体が寒い。



 神社であのひとに身ぐるみ剥がされ、寒い中で波瑠さんと立ち話したのが祟ったらしい。


 寒気が止らない。



 姉貴達はピンクのお守りを持って、子作りにいそしむと出て行ってしまい、家には俺ひとり。


 いつもはうるさい姉貴達がいないのが寂しく思えるのは……きっと俺の体がおかしいせいだ。


 寒い、寒い。



「モモちゃん……?」


 布団に丸まっていると、突然あのひとの声が聞こえた。

 心が温かくなるけれど、同時に切なくなる。


「モモちゃん……」


 昨日会ったばかりのあのひと。

 俺に抱きついてきてくれたあのひと。


 俺の匂いがすると言ってくれたあのひと。


 俺も……あのひとの匂いが欲しい……。



「ああ、すごいお熱……」



 ふわりと漂う甘い香り。

 額につけられたあのひとの額。


 夢、きっとこれは夢。


 卑猥の神様がいるのなら、あのジイサンでもいいから、あのひとを下さい。少しでいいですから、あのひとを――。



 目の前にあのひとの唇。

 ああ、幻覚だ――。


「モモちゃん、ごめんね……。昨日風邪ひかせちゃったね」



 違う、現実?


 あのひとがいる。

 あのひとが――。



「上着返そうと来たんだけど、返事ないから勝手に入ってきちゃった。ユリもいないんだね、うーん、救急グッズはどこにあるの? って言っても……答えられないよね。よし、コンビニに……」


「……ないで」


「え?」


「行かないで……」


 俺は、あのひとに懇願する。


「寒いんだ。あんたの肌で……温めて」



 これは夢だから。

 夢だとわかっているから――。



「モモちゃん……」 

「行かないで……」



「わかった」



 あのひとは、服を脱ぎ始めた。

 ぼんやりと映るあのひとの下着姿。


 綺麗だ……。


 ああ、綺麗だ……。


 泣けてくるんだ……綺麗過ぎて。

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