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みぃのお話【番外編】
第6章 『旦那様☆ロマンチスト』~クリスマスのお話~
「手編み、ですか?」
「そうなの。うちの実家は共働きで忙しかったから、私の子どもの頃は、お手製のものを作ってもらう機会に恵まれなかったの。
だから、憧れちゃって。私が家庭を持ったら、なにか手作りの物を家族に――そう決めたんだ。
だから、結婚してからはクリスマスには、何かを編んでプレゼントしてるの。
主人のセーターはもう完成したから、後は子ども達のに取り掛かる予定なのよ。咲は女の子だから赤いセーターで、陸のは緑のセーターにしようかなって。
見て!この糸まだらに色が入ってるから、普通に編んでも色合いが微妙なニュアンスになりそうなの」
「すごい!毎年編むんですか?」
「ええ。でも、編み物を始めたのが結婚したその年だったから、最初はマフラー一つ編むのも四苦八苦。
なのにプレゼントだなんて…。今考えたら無謀な挑戦だったわね。陸が十歳だから編み初めて今年でまる十年目」
そう言ってクスりと笑う佳世さんの表情は、昔を懐かしむようなそんな表情だった。