この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
可奈さん
第11章 葛藤
なにもかもが楽しい。
朝起きる事も、洗濯や掃除も。それにバイト。いつもやたら無愛想な客への配達も、俺は張り切ってバイクを走らせた。
曇りだろうが雨だろうが気持ちはウキウキ。可奈さんの事を考えて1日を過ごす。
季節柄、仕事が忙しくなってきた彼女とゆっくり会う事は出来ないけど、それでも偶然を装って"たかひら"で会えた。俺が休みの日、昼間に限ってだけど。
夜にメールの返信を確認して"おやすみ"を云うのが目下の幸せ。
「おい、……おいタク!」
「ん?」
「俺の話聞いてる?」
「え、なんだっけ」
「だから飲み会だよ飲み会っ!」
木田が太い声を張り上げる。
「いつだっけ」
「来週の水曜だろっ」
「あぁ、なるほどね」
「俺、葉月ちゃん連れて行くからな」
「まじで?」
「他にも女の子来るぞ、葉月ちゃんの友達だけど」
「ふーん、合コンみたいなもんか」
「なんだ、嬉しくないの?」
「いや…」
早番で上がる木田は、汗ばんだシャツを着替えてから俺の顔を覗き込んだ。
朝起きる事も、洗濯や掃除も。それにバイト。いつもやたら無愛想な客への配達も、俺は張り切ってバイクを走らせた。
曇りだろうが雨だろうが気持ちはウキウキ。可奈さんの事を考えて1日を過ごす。
季節柄、仕事が忙しくなってきた彼女とゆっくり会う事は出来ないけど、それでも偶然を装って"たかひら"で会えた。俺が休みの日、昼間に限ってだけど。
夜にメールの返信を確認して"おやすみ"を云うのが目下の幸せ。
「おい、……おいタク!」
「ん?」
「俺の話聞いてる?」
「え、なんだっけ」
「だから飲み会だよ飲み会っ!」
木田が太い声を張り上げる。
「いつだっけ」
「来週の水曜だろっ」
「あぁ、なるほどね」
「俺、葉月ちゃん連れて行くからな」
「まじで?」
「他にも女の子来るぞ、葉月ちゃんの友達だけど」
「ふーん、合コンみたいなもんか」
「なんだ、嬉しくないの?」
「いや…」
早番で上がる木田は、汗ばんだシャツを着替えてから俺の顔を覗き込んだ。