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可奈さん
第12章 恋というもの
すれ違う女性達を一人残らず目で追いかけた。

見るからに太っている人は論外。細めでショートヘアの女性に近づいて、びっくりされる顔にこっちがびびった。


「どこだよ可奈さん」


駅前は外灯で明るく照らされているからもう見間違う事はない筈だ。


「おかしいな、どこかですれ違ったっけ?」


俺はキョロキョロと辺りを見回して歩き、コンビニを通り過ぎようとした。


「あ…」


雑誌を立ち読みしている可奈さんを見つけた。

外にいる俺に気付かず、あれこれ手に取っては戻し、数冊を小脇に抱えている。

マンガを読んでいる隣の男がちらちらと彼女を観察していた。


まずい……


俺は慌ててコンビニのドアを押し開け中に入った。


「いらっしゃいま…」

「可奈さんっ」


素早く雑誌コーナーに駆け寄る。


「あら、拓也さん、どうしたの?」


驚きと笑顔の表情が俺を一瞬で和ませた。
隣の男を横目で睨み付けてから可奈さんと向き合った。


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