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可奈さん
第14章 可奈さん
吹き付ける風ではなく、胸に立ち込める暗雲が俺を覆っていた。

アクセル全開で逃れようにも、町の灯りだけが後ろに飛んでいき、エンジン音が俺をせせら笑う。

誤解したくない。
まさか終わりじゃないよな。

まだ何も決まってない。
さよならも言われてないんだ。

俺、何か悪い事した?

最初から蚊帳の外だったの?

可奈さん

俺は可奈さんが好きだ

いいよね

いいでしょう?



駅前の通りに出ると、通勤帰りの人の流れが、"雅"の方向へも動いていた。

俺は片側二車線のその道にバイクを止め、向かい側に止めてある白のBMWに目をやった。


なんだあの車。
"雅"の玄関先に停めるなよ。


可奈さんにメールしてみようかとメットを脱いだ時、店からスーツ姿の男が出て来た。


客か?


次に出て来たのは可奈さんと瞳さん。男は談笑しながら瞳さんとだけ握手を交わし、白い外車の助手席のドアを開けた。


え……


すんなりとそこに納まったのは可奈さんだった。



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