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可奈さん
第14章 可奈さん
「あぁもう、タクうるさーい」

「おーい」

「あ、ノブ君いた!」


ノブの事をすっかり忘れていた。


「俺を置いて行くなよー」


三角帽子やクラッカー、赤い長靴、リースやモールがたくさん入った袋を両手に抱えて口を尖らせる。


「あ、さっきのお店。
お金だけ払って荷物とノブ君置いて来ちゃったんだ。ごめんごめん」

「ノブごめんな」

「酷いっすよー」

「あ、やっと青になった。2人とも、渡るよ」

「はーい」
「はーい」


人波に飲み込まれ、俺達は歩いていく。

すれ違い、ぶつかりそうになって足を止め、つまずいて、前に進む。



胸に残る痛みは消さないでおこう。
彼女の姿を、忘れないでおこう。


俺はたしかに恋をした。

可奈さん……


俺は、恋をしました。



「ほら、見て、雪が降ってきたよ」
















※あとがきがあります。




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