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可奈さん
第2章 ヤバイ展開
冷えきった頭で夜道を歩いた。汗だくのシャツをぬるく撫でる風が、馬鹿なヤツだと囁いて逃げていく。

「よければまた連絡して」と手渡されたメモを細かくちぎって暗闇に投げた。

「あのね、私この前、ノブくんの初めてを貰っちゃった…うふふっ…」


ノブはあの毒蜘蛛を見たんだろうか。
初めてがあんな女で、これから先大丈夫か?


俺はノブを心配している自分に気付いた。


「ふ、あははっ…」


まあいいさ、何の問題もない。

傷害罪とかでムショに入っているあの怖そうな彼氏の代わりをヤらせてもらっただけだ。
これっきりだ。

きっとナナさんも蜘蛛の巣に引っかかった獲物を食べたあとは、また次の獲物を探すんだろう。

喰っちまえば皆同じ腹の中、消化されて糞になる。

俺は脱皮した蝉みたいにすっきりと歩いている筈だった。
いや違う、木の幹に置き去りにされた脱け殻の方だ。

中身のない、すぐに潰れる空っぽな俺…



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