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フ・リ・ン ~年下の男の子と~
第2章 突然に エレベーターの前で
椅子に座って雑誌を見ている振りで、じつは上の空。

目に映る文字は今や蟻の行列でしかない。

それほどお口へポンの場面を何度も反すうしてはその余韻に浮かれている。

(あそこでキスされちゃったりしたら、どうしたんだろうわたし)とそれから先の事も妄想しちゃったりと、そんなこんなで自然と顔がどうしたってニヤケてきちゃうから、いかん、いかんと緩んでくる頬をキュッと引き締める。

部屋の外からはドアの開く音。

キュッ、キュッとカーペットの軋む足音が近づいてくる。

(もう一つあげてみよう)
 
部屋から身軽に飛び出てみれば、タイミング良く浩平クンとバッタリ。

またまたの登場に少しのけぞって驚いている。

先ほどと違って、爽やかなシトラスの香がその身体から漂ってくると、その空気を気付かれないようにしながら肺いっぱいに吸い込む。
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