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フ・リ・ン ~年下の男の子と~
第6章 雨からのエスケープ
「傘、ささなくていいの?ズブ濡れだよ」

「いっ、いいのよ。滝岡君だってずぶぬれじゃない。それより、はやく行きましょう」

「了解、アハハハハ」と浩平クンは甲高く笑い「どうぞ、お乗りください」と勧めてくれて、その言葉通りに自分でドアを開けてこの赤い車に乗り込んだ。

車の中は思いのほか広々としていて造りはシンプルだった。

ただ、うちの車よりもずいぶん低い目線に慣れてなくて違和感を強く感じる。

カチャッ、カチャッと今時珍しいマニュアルのシフトレバーを動かして浩平クンが車を発進させる。

ノッソリと動き出す車。

ロータリーの残り半分を進んでいき、後頭部に刺さっている視線の糸も引っ張られてしだいしだいに細くなっていくように感じられるけれど、まだしつこくくっついていて、それを早く断ち切りたい気分。

それなのに交差点を曲がってメイン通りに出る為に左にウインカーが出るけれど、目の前の信号が黄色になってそして赤に変わって車は停車。
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