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Could you walk on the water ?
第7章 強要ストリップ
大介の苦悶は深刻さを増していた。

夏の観光シーズンだが、もはや、カフェの仕事にも集中できないほどだった。

あの夜の陵辱行為のことを、大介は沙織に深く追求することはなかった。

妻がそのことに触れたがっていないことは明らかであった。

あの日以降も、妻は変わることなく出勤を続けた。

妻の稼ぎが、今や、相本家の唯一の収入である。

妻の帰宅時につきまとっていたバイクの轟音は、あの夜以降ぱったり途絶えた。

平静さが戻ったかのような日々において、大介は1人、苦悩を深めていた。

それは、豊岡というあの若者が妻にささやいた数々の言葉であり、堀内が大介に告げた言葉でもあった。

「奥さん、いったい何人のおっちゃんにやらせてあげたんですか」

「どんどん過激になっていきますね、奥さん」

「奥さんのよがり声を聞いたことあるっていうやつがいますよ」

「大介、あそこに連中を誘ったのは奥さんのほうだぜ」

嘘だ・・・・・・・・・・、みんな嘘だ・・・・・・・・・・・・・

過去の復讐を、堀内は俺に対して仕掛けている。

学校生活で散々にばかにされたことに対する復讐を、俺の妻を通じて仕掛けてきてるんだ。

許せない・・・・・・・・、絶対に・・・・・・・・・・・・・・

そんな決意を胸に刻み込んでいくうちに、大介は次第に現実感を失っていった。

もはや、どのようなリスクさえ、障害とはなり得なかった。

リストラという人生の転機が、一人の男にここまでの変化をもたらしてしまうのだろうか。

相本大介には、しかし、そんな冷静な思考を展開させる余裕がなかった。

「あの場所に潜入してやる・・・・・・・・」

大介が決心したのは、妻への陵辱行為を目撃した夜からまもなくのことだった。
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