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甘いだけの嘘ならいらない
第7章 その温度さえあればきみを忘れることだってできたのに、


♡ ♡ ♡


「理紗、また明日な」

「うん。気をつけて帰ってね。送ってくれてありがとう」


会社の最寄り駅に着くと、翔はぎゅっと抱きしめてキスしてくれた。


触れて、すぐに離れた唇がせつなくて、何度も唇を重ね合う。


駅の人通りは疎らで、あたしたちの他にも別れを惜しむカップルが平然とキスをしているのを目の当たりにしたから、それがいけないことだという意識が薄れてしまったんだと思う。


「……おやすみなさい」

「おやすみ、理紗」


そう告げて、もう一度だけ唇に触れる。


振り返らないのは、名残惜しく思ってしまうから。


大丈夫、また明日逢える。
だからさみしくない、だから、辛くない。


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