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甘いだけの嘘ならいらない
第7章 その温度さえあればきみを忘れることだってできたのに、
そう自分に言い聞かせて、改札に入ったところで、改札横のコンビニの自動ドアの側のガラス戸を背に身体を預けていたその人は、にこりと笑ってあたしを見つめた。
「……英士、くん」
「理紗、おかえり」
心臓が嫌な音を立てていて、声が震えてないか、変な汗をかいてないか、ちゃんと笑えてるか不安だった。
英士くんは、微笑んではいるけど、目は笑っていなかった。
あたしに近づくと、抱きよせてキスをする。
さっき、あたしと翔がキスしてた、みたいに。