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甘いだけの嘘ならいらない
第7章 その温度さえあればきみを忘れることだってできたのに、
あたしは何口かかじって、英士くんに返した。
ミルクティーを口に流し込みながら、あたしは地に足がついていないような感覚がして、思わず俯いてパンプスをこつんと鳴らした。
「理紗、寒いんじゃない?薄着だし…少し震えてるよ?」
「っ、あ…」
「これ、着なよ。貸してあげる」
フランクフルトを食べ終わった英士くんは、あたしを横目に、着ていたグレーのコートを脱いで手渡してくれる。
「でも、英士くんが風邪引いちゃう…」
「大丈夫、俺が暑がりなの知ってるでしょ?念のためにコート来てきただけだから」
だから大丈夫、と言って、英士くんはあたしのミルクティーを持って、コートを羽織ることを促す。