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甘いだけの嘘ならいらない
第7章 その温度さえあればきみを忘れることだってできたのに、
「ありがとう。じゃあ、借りるね」
「どうぞ」
先程まで英士くんが着ていた体温がほんのりと残っていて、暖かい。
少しすると電車がホームに到着して、あたしは英士くんに手を引かれて乗り込む。
空いている車内は静かで、座席もたくさん空いてた。
英士くんは、窓の外をぼんやりと眺めて、ちいさくため息を吐くと、理紗、とあたしの名前を呼んだ。
「俺に言わなきゃいけないこと、あるよね。……帰ったら、話して。ちゃんと聞くから」