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甘いだけの嘘ならいらない
第8章 拒絶の先の融解


あたしの心を見透かしていたように、タイミングを図っていたように、英士くんにあたしと翔のキスシーンを見られてた。


もう、終わりだと思った。


あたしはきっと英士くんにフラれて、自分の浅はかな行動を、積み重ねた罪を、どうしようもなく後悔するんだって。


引き止めるなんてしちゃいけなくて、英士くんに愛される権利なんて、なくて。


この恋の終わりを想定して、あたしは玄関のドアを開けて先に部屋に入っていった英士くんについていく。


愛しさが溢れていたはずのこの部屋が、いまはとても冷たく感じた。


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