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甘いだけの嘘ならいらない
第8章 拒絶の先の融解
「…ああ、あの人がそうなんだ。この間の歓迎会の夜から?それとも、もっと前?」
「…歓迎会の日のお昼、たまたまランチ一緒に行ったの。それで、奢ってくれて…申し訳ないから自分の分払いたいって言ったら、お金はいいから映画つきあってって言われて……」
「…うん」
「歓迎会のあと、あたし忘れ物しちゃって…お店に取りに戻ったら、待っててくれて。話がしたいからって、他のお店に誘われて、告白されたの。奥さんがいるけど、離婚が決まってるし、あたしが好きだって」
「そう。それで?」
「あたしかなり酔っちゃってて、気づいたらマンションに連れていかれてて…あの夜、初めて、抱かれたの」
英士くんは静かにあたしの話を聞いてくれる。
だけど英士くんのあたしをみつめる瞳は、冷静さを欠いた、嫉妬を募らせた瞳だった。