この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
甘いだけの嘘ならいらない
第1章 だから僕はもう戻れない
大学のサークルで知り合ったあたしたちは、英士くんの友人であたしの高校時代からの後輩の奏多くんを通じて仲よくなった。
その頃、彼氏と別れたばかりで心が弱りきっていたあたし。
英士くんの優しさは充分すぎるほど身に沁みて、毎日のように好きだと囁かれて優しくされて。
気づけば誤魔化しようのないくらい、彼に恋に落ちていた。
初めて肌を重ねたあのとき……
触れられた指先のぬくもりも唇の熱も消えなくて、その熱の鮮やかさをどうやって忘れたらいいのか、あたしにはわからなかった。
……彼の優しい声にぬくもりに涙が溢れて止まらなかったことだけは、覚えてる。