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甘いだけの嘘ならいらない
第6章 騙されてあげる、それは君が好きだから
♡ ♡ ♡
「理紗センパイ?さっきより顔紅くなってますよ」
デスクに戻ると、もうすぐ朝礼が始まるのに御堂くんはまだ来ていなくて、でもあと10分あるし、寝坊か電車の延着かな、と心のなかで自己完結する。
さっきよりもふらついてるあたしを見て、鳴海くんはまた心配そうに声をかけてくれた。
「あ、あの…ちょっと、やっぱり、熱っぽいのかも。鳴海くんにもらったスポーツドリンク、飲むね…っ」
「はい。本当に無理しないでくださいね。理紗センパイ倒れたら、俺も心配なんで」
「あはは、ありがと。鳴海くんて優しいよね」
「そんなことないすよ。御堂だったら、そこまで心配しませんから」
さりげなく毒を吐いてにこりと笑うと、鳴海くんはパソコンを起動させて、始業の準備を始める。
北条部長はというと、先程までの情事なんて初めからなかったかのように、既にキーボードをカタカタ鳴らして、仕事を始めていた。