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甘いだけの嘘ならいらない
第6章 騙されてあげる、それは君が好きだから
朝礼の始まる数分前に御堂くんは駆けてきて、席につく。
「おは…よう、ございます……理紗センパイ…っ」
呼吸を整えながら御堂くんは息も絶え絶えに挨拶をする。
「おはよう、御堂くん。間に合ってよかったね」
「ぎりぎりだったけどな…あー焦った…」
「電車の事故か何かだったの?」
「あー、なんか、妊婦さんが急に陣痛始まったって。車内アナウンスでは体調を崩されたお客様が、って言ってたけど、隣の車両だったから見えたんすよね」
「わ、そうなの…!ちゃんと病院、行けてたらいいんだけど…」
「そうっすね…元気な赤ちゃん産まれるといいな」
御堂くんは笑って、パソコンを起動させながら始業の準備を始めた。