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甘いだけの嘘ならいらない
第6章 騙されてあげる、それは君が好きだから
「お待たせ。ちょっとだけ歩くけど、平気か?」
「うん、大丈夫。ありがとう」
あたしがパンプスを履いてるから心配してくれたのか、それとも別の意味で聞かれたのかわからないけど、気遣ってくれたのが嬉しかった。
10分くらい歩いたところで、翔は足を止めて、知らない綺麗なビルの地下に降りていく。
飲食店の並ぶ地下街で、中華料理のメニューサンプルがディスプレイされてるお店があって、そこに入る。
店員さんに案内されたテーブル席に座ると、翔はメニューをあたしの目の前に広げて置いた。
「何にする?」
「えっと、…あ、エビチリ食べたい」
「それだけ?青椒肉絲とか、小籠包とか、…ああ、焼飯とかは?嫌い?」
見事にあたしの好きなメニューばかりを挙げられて驚く。