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甘いだけの嘘ならいらない
第7章 その温度さえあればきみを忘れることだってできたのに、
中華料理店を出たあたしたちは、手を繋いで映画館までの道を歩いた。
当然だというように引かれた手に、絡められた指先にどきどきして、こんなにも心臓がうるさくてちゃんと映画を楽しめるのか不安になる。
途中で他愛ない会話をしたはずなのに、それにちゃんと受け答えできてたはずなのに、何を話して何て答えたのか思い出せない。
ああ、もう、緊張しすぎてる。
英士くんを欺いている罪悪感からの動悸も、少しはあると思う。
だけど、純粋に、翔の瞳にあたしがどんな風に映っているのか、ちゃんと可愛い女の子に見えてるのか、そんなことばかり考えてた。