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誘淫接続
第7章 解除
(3)
麻琴は隆一に連れられるまま歌舞伎町の雑踏の中を歩き、ある雑居ビルの中までやって来た。
照明が点いているものの、やや薄暗く人の気配もない。
麻琴は隆一とともに、一階廊下の扉から階段を使って地下に降りた。
たどり着いた場所は、欧風アンティークのソファやチェスト、テーブルなどが並んだ綺麗な部屋だった。壁紙もそれに合わせた花柄の文様があしらわれている。
敷かれている真っ赤な絨毯はふかふかで清潔感と高級感に満ちている。
間接照明がどことなくバーかレストランを思わせるような雰囲気を漂わせていて、明るくはないが決して暗くもない。
広さは十二畳といったところか。部屋には誰もいないが、暖房がよく効いている。
隆一は、麻琴のコートを脱がせるとソファに座らせた。
その時、奥の扉が開き、翠が飛び出してきた。
麻琴は最初それが翠だとは分からなかった。人違いだと思った。
髪の色が、目の色が、全然違う。
「マスターおかえりなさいませっ! 瑠萌奈、お待ちしておりましたぁっ!」
翠は隆一に笑顔で敬礼しながら、ひときわ高いトーンで弾けるような声を出した。
翠の髪はピンク色のロングで、瞳が赤い。着ているブレザーは女子高生の制服のようでもあるが、腕と身頃に入っている太いラインが奇抜で実在の制服とは思えない。駅で会った時と同じ赤チェックのプリーツミニスカートと白黒のボーダーニーハイソックスを履き、白の手袋をしている。
何かのキャラクターのコスプレなのだろうか。
大きく開いた翠の赤い目は無邪気な光を放っている。
『ご主人様』とも『田村翠』とも違った、弾けるような声と振る舞いは、新宿駅で麻琴がすでに見せられていた『人格』だった。
真っ赤な首輪をはめていて、それだけが妙に浮いている。