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誘淫接続
第2章 第十の接続
――あたし……
――何やってんだろ……
『ご主人様』の言うことに従わなくても、ネットの向こうにしかいない彼が気づくはずはないのだ。今日一日、貞操帯をつけて仕事をしたと嘘を言えば済む話だ。
が、麻琴は『ご主人様』の言葉に従った。
従いたかったのだ――。
自分の中にうごめく、罪悪感や不安感や背徳感がないまぜになることによってのみ味わえる、強烈な快楽が欲しくて欲情しているのだ。
普通にふるまわなければ、と思えば思うほど、その情欲の炎が燃え上がる。
気づかれてはいけない、けれどももっと責められたい――麻琴は大勢の人間がいる中で、孤独に情欲を貪り、身体をますます熱くさせていた。
その時、不意に麻琴は肩をつかまれた。
「ひゃっ……!」
麻琴が肩をびくつかせて振り向くと、受講生のひとりである初老の男性が立っている。
男性は粘っこいにやつき顔で、麻琴の全身を舐め回すように眺めている。
麻琴は、必死に冷静をよそおった。
「なんでしょう?」
男性はすぐに返事はせず、にやにやした表情を崩さない。
やがて男性は、麻琴の耳のそばに顔を近づけてきた。
麻琴は無意識にほんの少し離れて距離を作った。
何を言い出すつもりだろうか。
――分かるわけない……
――分かるわけない分かるわけない分かるわけない……
二つのバイブは、麻琴の膣穴と直腸の中で、静かに息を潜めている。
男性が小声で言った。
「水野さん、靴ひもほどけてるよ」
麻琴は自分の足元を見た。
確かに、左のシューズの靴ひもがほどけている。
「……ありがとうございます」
麻琴は安堵のため息が出そうになるのを何とか止めた。そしてできるだけ冷静にしゃがんで靴ひもを結んだ。
――何やってんだろ……
『ご主人様』の言うことに従わなくても、ネットの向こうにしかいない彼が気づくはずはないのだ。今日一日、貞操帯をつけて仕事をしたと嘘を言えば済む話だ。
が、麻琴は『ご主人様』の言葉に従った。
従いたかったのだ――。
自分の中にうごめく、罪悪感や不安感や背徳感がないまぜになることによってのみ味わえる、強烈な快楽が欲しくて欲情しているのだ。
普通にふるまわなければ、と思えば思うほど、その情欲の炎が燃え上がる。
気づかれてはいけない、けれどももっと責められたい――麻琴は大勢の人間がいる中で、孤独に情欲を貪り、身体をますます熱くさせていた。
その時、不意に麻琴は肩をつかまれた。
「ひゃっ……!」
麻琴が肩をびくつかせて振り向くと、受講生のひとりである初老の男性が立っている。
男性は粘っこいにやつき顔で、麻琴の全身を舐め回すように眺めている。
麻琴は、必死に冷静をよそおった。
「なんでしょう?」
男性はすぐに返事はせず、にやにやした表情を崩さない。
やがて男性は、麻琴の耳のそばに顔を近づけてきた。
麻琴は無意識にほんの少し離れて距離を作った。
何を言い出すつもりだろうか。
――分かるわけない……
――分かるわけない分かるわけない分かるわけない……
二つのバイブは、麻琴の膣穴と直腸の中で、静かに息を潜めている。
男性が小声で言った。
「水野さん、靴ひもほどけてるよ」
麻琴は自分の足元を見た。
確かに、左のシューズの靴ひもがほどけている。
「……ありがとうございます」
麻琴は安堵のため息が出そうになるのを何とか止めた。そしてできるだけ冷静にしゃがんで靴ひもを結んだ。