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誘淫接続
第2章 第十の接続
確かに見た目は地味だが、知人やショップの店員が言うには、胸はやや小さめであるものの全体の麻琴のスタイルは悪くないらしい。
黒髪も、つやつやとした滑るような質感だ。
少し着飾って化粧も工夫すれば見違えるようになるのに、とも言われる。
しかし麻琴は、そういうことに関してはすぐに気おくれしてしまって、どうにも苦手だった。
ホームにいる、男女のペア全てがカップルに見えてくる。初老の男性と若い女性の組み合わせも男が愛人を連れているようにしか見えない。本当の『男女関係』の二人もいるだろうが、たまたま帰りが一緒になっただけ、という人だって多くいるはずなのに。
麻琴の脳裏に、ふと隆一の姿がよぎった。
周囲を見回す。
――いるはずないよね……
――なに期待してんだろ私……
――でも、一緒に行きたい場所って……
――どこ……?
――ダメ。やっぱりダメ。
――断らなきゃ……
その時、バッグの中のスマホが鳴った。
麻琴は、まるでそれが大音量で響いたかのように体をびくつかせ、思わず背筋を伸ばした。
スマホを取り出し画面を見る。
『ご主人様』からのメールだ。
『今すぐアプリを立ち上げろ』
メールには、ただその一行だけが記されていた。
――ここ、で……?
ホームにはそれなりの人数がいる。
しかも今の麻琴の身体なら、バイブを少し動かされるだけでこの場で大声を上げて絶頂してしまいそうだ。
『30分待ってもらえませんか?』
麻琴は返信した。
返事はすぐに来た。
『待てるか』
問答無用だ。
また一本、麻琴が乗るはずの電車が、目の前で発車していく。
黒髪も、つやつやとした滑るような質感だ。
少し着飾って化粧も工夫すれば見違えるようになるのに、とも言われる。
しかし麻琴は、そういうことに関してはすぐに気おくれしてしまって、どうにも苦手だった。
ホームにいる、男女のペア全てがカップルに見えてくる。初老の男性と若い女性の組み合わせも男が愛人を連れているようにしか見えない。本当の『男女関係』の二人もいるだろうが、たまたま帰りが一緒になっただけ、という人だって多くいるはずなのに。
麻琴の脳裏に、ふと隆一の姿がよぎった。
周囲を見回す。
――いるはずないよね……
――なに期待してんだろ私……
――でも、一緒に行きたい場所って……
――どこ……?
――ダメ。やっぱりダメ。
――断らなきゃ……
その時、バッグの中のスマホが鳴った。
麻琴は、まるでそれが大音量で響いたかのように体をびくつかせ、思わず背筋を伸ばした。
スマホを取り出し画面を見る。
『ご主人様』からのメールだ。
『今すぐアプリを立ち上げろ』
メールには、ただその一行だけが記されていた。
――ここ、で……?
ホームにはそれなりの人数がいる。
しかも今の麻琴の身体なら、バイブを少し動かされるだけでこの場で大声を上げて絶頂してしまいそうだ。
『30分待ってもらえませんか?』
麻琴は返信した。
返事はすぐに来た。
『待てるか』
問答無用だ。
また一本、麻琴が乗るはずの電車が、目の前で発車していく。