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誘淫接続
第4章 切断
(2)
次の日の休憩時間、麻琴は久しぶりに外へランチを食べに行った。いつもは面倒なので教室の入っているテナントビルの一階にあるコンビニで済ませるのだが、何となく気が向いたので一人で出てみた。
かといってこのあたりは大して食べる店の種類も多くはなく、都心のようにしゃれたカフェがあるわけでもない。
外を歩いていると、一軒の洋食屋が麻琴の目に入ってきた。
今の教室に勤務するようになったころ何度か入ったことのある店だったが、もうずいぶんと来てはいなかった。
麻琴は、味もそこそこおいしい店だったことを思い出し、その洋食屋に入った。
軽くサンドイッチとコーヒーくらいで済まそうと思ったが、麻琴がメニューから選んだのはハンバーグランチだった。
デミグラスソースのかかった大きめのハンバーグに、サラダとスープ、ライスに日替わりのちょっとしたデザートまで付いていて、女性一人で食べる分量としてはやや多い。
今日のデザートはミニサイズのレアチーズケーキだった。
麻琴の頭に『カロリー』の文字と三桁の数字が踊ったが、結局あっさりと全部平らげてしまった。
ちょっとお腹が苦しい。
――たまにはいいよね。
腹は苦しくても、麻琴の気分はどことなく晴れやかだった。
真剣に、恋愛でもしてみようか――。
麻琴は無意識に隆一の姿を思い浮かべていた。
――でも……彼は受講生だし……
――いや、やっぱりそんな堅苦しく思わなくていいのかな。
――ダメ。やっぱりダメ。
いっそ、隆一の方から強引に『僕のものになってください』とでも言ってくれたら、余計な考えも吹き飛んで喜んで彼のものになるかも知れない。
そんな風に言われてみたい、と夢見ることもあるが、生まれてこのかた一度も言われたことがない。