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誘淫接続
第6章 強制接続
 「俺の勝ちだな、マキ」
 再び画面の中に翠の顔が映り、相変わらず『ご主人様』の口調で話しかけてきた。
 チャットではない。スマホのスピーカーから直接声が聞こえてくる。
 「野獣みたいな声でイってたぞ?」

 麻琴はもうろうとしながら翠の声を聞いていた。
 ――また……
 ――お仕置きするとでも言い出すんだろうか……

 画面の向こうで、翠は片手で黒の貞操帯を外した。
 そして、脱いだ貞操帯をカメラに近づけてきた。
 翠の貞操帯には、責め具が何も付いていなかった。
 ただのショーツと同じだ。素材がラバーだというだけである。

 貞操帯を放り投げた翠は、再びカメラに顔を近づけた。
 「俺が真剣にお前とガマン比べしてたとでも思ってるのか?」
 そう言って翠はキャヒャハハハッ、と奇声をあげて笑った。

 考えてみれば、別に不思議なことでもなんでもない。前回も最初から勝負などしていなかったのだ。もったいぶってラバーのショーツまで履いて、麻琴を『お仕置き』するための口実を作っていただけなのだ。

 麻琴はまだ落ち着かない荒い息の中で、必死に声をしぼり出した。
 「……お、仕置き、するんでしょ……」
 「いつから俺にタメ口きくようになったんだ?」
 教室ではそれが当たり前だが、今の翠は『ご主人様』になりきっているのだ。

 「……おね、がい……許して……」
 翠は大きく見開いた目から鋭い光を麻琴に向けてくる。
 「……ください」
 麻琴がひと言付け加えると、翠はまた奇声を上げて笑った。
 翠の奇声は、麻琴の背筋に何か冷たいものを浴びせかけた。
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