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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第3章 『 抹茶 水ようかん 』

次のページには、「葛藤……」というタイトルがつけられていた。
そのタイトルが目に入った瞬間、Sachiさんの気持ちが透けて見えた。
Sachiさんは……命令に従わなかったんじゃないだろうか……と。
「……私は、結局、ご主人様の命令には従わなかった。」
最初の一文に……答えが書かれてあった……。
「玄関を出るときも……一度足を止めて、考えた。
ご主人様の命令を聞きたいという気持ちはあったけれど、……あまりにリスクが高いと思った。
万が一、周りに気づかれたら……。
恥ずかしさのあまり、私は死にたくなるかもしれない。
もちろん、何食わぬ顔で働き続けるなんて……とうていできるわけがない。
急に会社を辞めたら、ダンナだって怪しむ。
葛藤があったけれど、私は……いつも通りに会社に向かった。
「おはようございます。」
すでに座っている人たちに挨拶をしながら、自分の席に向かう。
一瞬、ご主人様と目が合った。
すぐさま、スマホが震えた。
『どうだい?
恥ずかしくてたまらないだろう。』
膣内にローターを入れて、戸惑いながらも感じる私……そういう淫らな私をご主人様は想像しているのだと……わかった。
私は、どう答えればよいのか……ためらった。
仕事の準備をしていると、またスマホが震えた。
『もしかして、入れてこなかったのか』
私は、そっとご主人様のほうに顔を向けた。
ご主人様は、私の方を見ることなく、パソコンに目を向けていた。
……隠しても仕方がない。
私は、
『はい。』
と、短い返事を送った。
ほぼ同時に、
『○○さん。』
と、チームの同僚に声をかけられた。
『どうしたの?』
よほど……驚いた顔をしていたのだと思う(苦笑)
「急だったからびっくりしちゃった。」
私は、笑いながらそう答えた。
そこから、一気に仕事の話になった……。」

