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いつ見きとてか 恋しかるらむ
第3章 『 抹茶 水ようかん 』

「ランチミーティングで」次のブログのタイトルにはそうあった。
『ランチミーティングで、ご主人様と二人。
同じチームの人たちは、変更できない予定があったり他のチームとのミーティングが入ってしまったためだ。
ミーティングは、たいてい会社から10分ほど歩いたところにあるイタリアンで行う。
今回も個室を予約していたものだから、ご主人様と私の二人、向き合う形になった……。
前菜とサラダが運ばれた。
次の仕事のシミュレーションやどんな日程で進めていくか話しながら、サーモンのマリネやオニオンドレッシングのかかったレタスを口に入れた。
いつものミーティングなら、料理を味わう余裕があるけれど、今日は私だけなのでそんな余裕はなく、提案や問題点を伝えていく。
前菜とサラダを食べ終わったタイミングで、パスタが運ばれてきた。
しばらくは、店員もこない。
仕事の打ち合わせもほぼ終わってしまった……。
私の心臓は急にドキドキした。
上司と部下ではなく、主と従を意識してしまったから……。
パスタをフォークに巻きつけて、口に運ぶ。
ご主人様の視線を感じる。
私は、ゆっくりとご主人様のほうを見た。
ご主人様と目が合う。
ご主人様の視線が絡みつく。
私はうつむいてしまった。
ご主人様は、なにも言わない。
空気がはりつめていくのがわかった。
私は、意を決して……
「あの……。」
と声をかけた。
ゴクリと喉を鳴らすほど息をのんで
「この前のことを……怒っておられますか?」
目を合わすことができず、私の視線はテーブルの真ん中に置かれた一輪挿しをみていた。』

