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唇に媚薬
第8章 嫉妬姫

「あれ、佐伯っていうんだけど」


さえき!
わぁ、なんかそんな感じ!
佐伯お嬢様って感じ!


「営業事務なんだよ。俺の右腕」

「右腕!?」

「つまりアシスタント。
可哀想なことに、俺の専属でさ」

「専属!?」


なによさっきから俺の俺のって!
まるで “ 俺の一部 ” みたいなその発言なんなのよ!

てゆーかアシスタントってことは、つまり……


「席、隣りなの!?」

「そうだけど」

「葵の横に並んでるの!?」

「隣りってそういうことだろ。
……つーか、なんなのそのテンション」


〜〜〜だって!
なんかこの一瞬で色々想像出来ちゃったんだもの!

歩きながら、葵と彼女のオフィスシーンが脳内を駆け巡る。

……あんな小さくて可愛い子が隣りにいたら
男なら絶対に守りたくなってしまうだろうし
手取り足取り教えて、優しく接して……

て、手取り足取り!?


「足は取る必要無いでしょう!」

「……はぁ?」

「……! い、いえ、なんでもな、い」

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