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唇に媚薬
第8章 嫉妬姫
……さっきとは、違うドキドキ。
何1人で興奮してるのよ。
会社の同僚の存在を知っただけでヤキモチって……
「……その、佐伯、さん。
帰らせちゃってよかったの?」
「あぁ。週明けに聞くって今メールした。
あいつとは平日毎日顔合わせるし、いいんだよ」
「………」
「つーか俺は、お前が常に優先」
最後の一言で、また胸がキュンとしたけど
信号待ちの横断歩道。
反対側にいるOL風の2人組が、頬を染めて葵をチラチラ見ていて
……なんか、焦る。
本当に余裕ない。
「で、どこ行くよ?」
「………」
「この時間だし、いつものBARだと……
……!」
信号が青になって、歩きだそうとした葵。
その左手に向けてそっと手を伸ばして
……きゅっと握り締めた。
「……なに?」
「……手、繋いでもいい?」
「……!」
「繋いで歩きたいの」
……これは衝動的に出た言動。
分かってる、私はこんなキャラじゃない。
でも……