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唇に媚薬
第8章 嫉妬姫
その時
「………!」
ショッピングフロアを一気に通過してきたエレベーターが
到着音と共に、36階のランプを光らせて止まった。
反射的にパッと引っ込めようとした手を
葵にガシッと掴まれる。
「……あ、あの……」
つ、着いちゃった。
急激に恥ずかしさか襲ってくる。
続々と出ていく人達。
葵に手を引かれて、もつれる足をなんとか動かして
エレベーターを降りて、右側に視線を向けると
「……わ、素敵」
思わず声が出てしまった。
中央に大きなシャンデリアがある、黒と紫を基調としたラグジュアリーな空間。
真ん中には水路が張り巡らされていて、観葉植物や共用ソファがセンスよく並べられている。
周りを囲うように、飲食店が連なってるようだ。
「いつも行く、汐留のBARの雰囲気に似てる………ね…!?」
喋ってる途中で、強く手を引かれて
葵は皆と逆の方向へと歩き出した。
……え?
な、なに?
どこ行くの!?
そっちは一面窓ガラス。
行き止まり……じゃないの?