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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
「……蓮。
人のメールを覗き見とはいい趣味してんな」
携帯をしまって、ちょうど来たエレベーターに乗り込んだ。
先に乗っていた、別部署の女達の目が瞬時に輝いたけど
そんなのには目もくれず、蓮は爽やかに笑い続ける。
「見てないよ。
指の動きで予想しただけ」
「嘘つけ!」.
「あとは瀬名の心の声を読み取った」
「怖ぇーよ!」
つーか俺、こんな真面目に突っ込むキャラじゃねぇんだけど。
……いくら相手が蓮とはいえ、最近声も感情も出し過ぎで疲れる。
本来俺の台詞に感嘆符なんて使わねぇっつの。
「出張、いつまで?」
「……予定では3週間。
下手したら月末まで行ってるかも……」
「そっか、それなら今夜は逢いたいよな」
フロアに着いて、エレベーターのドアが開くと
蓮はいきなり俺の肩にガシッと手を回して、顔を近付けてきた。
「だから会議中、柄にもなくソワソワしてたんだ?」
「………!!」
「ほんと大好きなんだな、彼女のこと」