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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
「瀬名。 当分の間、俺達は他人だ」
緩めたネクタイを再び締め直して、蓮は無表情で俺から離れた。
さっきまでの爽やかさは消えている。
「こっちの台詞だバカ野郎。
ゲイとオカマに大人気の蓮とデキてるなんて、リアルすぎて泣きてぇよ」
「~~やめろ!
そもそもデマのきっかけを作ったのはお前だろ!」
「ま、俺は残念ながら明日から暫く消えますし」
「………!!」
「帰ってくる3週間後までに、しっかり火消ししとけよな」
「~~てめぇ卑怯だぞ!」
叫ぶ蓮に見向きもせず、俺は久々に清々しい気分でフロアの扉を開けた。
あー、これだよ、この感じ。
普段硬派を気取ってる蓮の口調が悪くなればなるほど、俺は冷静になれる。
つーか本来はこうなんだよ。
さっきの女達が言ってた通り
仕事のスタイルも性格もSEXもサディズム、この一言に尽きる。
「……今日は、俺も帰ろうかな」
余裕を取り戻した俺の後ろで、蓮が溜息を漏らした。