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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子

「……今回、事前の段取りが悪くて。
帰って明日の用意しなきゃならねぇんだ」

「………!」

「お前のメール、送ってくれたら家で速攻確認する」


タブレット端末を佐伯に見せてから、カバンにしまうと
佐伯はホッとしたように胸をなで下ろした。


「明日Seattle直行でしたよね。
気を付けて行ってきてください」

「あぁ、なんかあったらすぐ電話しろよ。
向こうで出来る事は投げてくれていいから」

「……はい、でも、大丈夫です」

「あ?」

「瀬名さんが留守の間、ミスしないようにしっかり務めます!」


両手で拳を作って、ぐっと縦に揺らした頑張りますポーズ。
こーいうの素で出来るってすげぇわ。

斜め前でデスクライトを消した蓮も、佐伯を見て微笑んでる。
…って、お前もマジで帰る気?

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