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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
「帰国は20日の予定だけど。
延びるようだったら途中で連絡する」
椅子に掛けっ放しだったコートを持って、デスクトップの電源を落とした。
「はい、承知しました」
「佐伯、無理すんなよ」
「………!」
「出来ねぇもんは残しとけ。
帰ってきたら、お前の3倍の早さで終わらせてやるから」
「………っ」
……って、俺的にはかなり王子要素を出したっつーのに
佐伯は若干涙目になって、揺れる瞳で俺を見つめてきた。
「…はい、ありがとう、ございま……」
……その声、震えて掠れてるんだけど。
つーか、今の俺の発言はどの辺が “ 無し ” だったわけ?
お前の3倍~のくだりが、仕事が遅いって捉え方して傷付いたとか?
「………」
正直めんど……いや、そうじゃねぇんだけど
考えるの諦めてもいい?
その潤んだ目、見なかったふりしていい?
~~あーもー分っかんねぇなーーー