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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
「……こいつとは
地元が同じで、ガキの頃からの腐れ縁で
ずっと飲み友だったんだけど」
「けど?」
「……だけど、カナダから帰ってきてから……」
「から?」
……蓮。
てめぇ、何聞き返しながら必死に笑い堪えてんだよ。
蘭、お前も人の顔見て目をキラキラさせんじゃねぇ。
俺も俺だ。
前置きはいいからさっさと言えっつーの。
どこまで残念なんだ。
「帰ってきてから……俺の」
「俺の?」
「……そう、 “ 俺の ” 」
「~~〜!」
蓮が反対側を向いて吹き出した。
口元押さえて、肩を揺らして
……あー最悪。
なんの拷問?
同僚には絶対見せたくない部分をさらけだした気分。
「は、初めまして、早坂蘭です」
同じく頬を染めて今にも笑いだしそうな蘭が
一歩前に出て蓮にペコッと頭を下げた。
それを見て、蓮も正面に顔を戻す。