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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
「鈴木蓮です」
「………!」
「瀬名とは同期入社で、部署も同じです」
蘭と同じ角度まで頭を下げてから、蓮は微笑んだ。
その笑顔を、若干戸惑いの表情すら浮かべて見上げる蘭。
艶のある黒の短髪
小さくて精悍な顔立ち
学生時代、インターハイにも出場した実力の持ち主
水泳で鍛えられた筋肉を隠し持つ、モデル体型
そんな蓮を見て、一目で恋に落ちる奴らをごまんと見てきた。
俺が女だったら確実に惚れるから、ごく自然な現象だと思ってきたけど
……会議中の、ソワソワ感に続いて
今、新たな感情が体の奥に生まれている。
「貴方のことは、瀬名からよく聞いています」
「………!」
「聞いてるというより、見てるって言った方が正しいかな」
心がザワついてる俺の横で、蓮が突然意味不明なことを口にした。
蘭と同時に顔を上げる。
~~つーか、何言い出すんだいきなり!