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唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
* * *
「鈴木さんって、本当に素敵ね」
夜10時。
俺のマンションに着いて、リビングに入ると
帰りの電車の中でもしきりに褒めていた言葉を、蘭は再度口にした。
「初対面の私に、ちゃんと敬語使ってくれるし。
最後も、頭下げてから手を振ってくれて」
「………」
「葵のことも、本当に信頼してるのね。
……ふふっ♡ “ 戦友 ” っていいなぁ」
……蓮は、誰に対しても態度が良いし
あいつが初めて真面目に語った、俺に対する想いには
心が振動して熱くなったのは事実。
だけど
さっきから、消えない。
何かが体の一部につっかえて、取れない感覚が。
「……やっぱり、あいつはすげぇな」
明らかに、自嘲的に笑ってると自分でも理解しながら
蘭からコートを受け取って、ポールハンガーにかける。
「お前が男を絶賛するなんて、初めてなんじゃねーの」
「………!」
「運命、感じたか?」