この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
唇に媚薬
第9章 ヤキモチ王子
……渦巻く、感情。
今までも、我ながら感心するほどの一方通行を続けてきたけど
こんなに固執した想いになったのは初めてだ。
「……葵」
上着を脱ぎ捨て、ネクタイを緩める俺の後ろから
口元を片手で押さえながら、蘭がひょっこり顔を覗かせる。
「ちょっとご機嫌ナナメ?」
「………」
「もしかして、ヤキモチ……とか?///」
まるで、猫がゴロゴロと喉を鳴らしてるみてぇに
俺のシャツを掴んで、上目遣いの蘭は明らかに上機嫌。
……蘭を好きだという気持ちと向き合ったのは、働き出してからで
それまでの女関係は、かなりいい加減な学生時代を過ごしてきた俺にとって
自分の女に対する独占欲なんて、毎度ゼロに近かった。
そんな俺が
いい歳した男が
相手にバレバレな程、嫉妬心を露わにしてるなんて
……この心と体、どれだけこの女に惚れてるんだ?