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唇に媚薬
第10章 狂う程、夢中
「……そ、それは……」
「ん?」
「つまり、その……」
“ 可愛らしい佐伯お嬢様に、影響を受けた為 ”
……なんて、正直に言えるわけがない。
昨日の日曜、あなたが休日出勤で仕事をしている間
私は1人、通常なら素通りするナチュラル系のお店で
いつもなら絶対に買わない、パステルカラーの服探しに奮闘していたなんて
……ドン引きされるに決まってる。
「や、やっぱり似合わないかな」
「……は?」
「流石に白には手を出せなくて、ギリギリ最低限に抑えたつもりなんだけど……」
「何の為に?」
「………」
……そりゃ、100%葵だよ。
眉を寄せて、疑いの視線を送ってくる葵。
その目を見つめ返したところで、このイタイ理由が伝わる筈が無いけど
「そんなに、変……?」
あ、やば、ちょっと声震えちゃったかも。
……なんか、悲しくなってきちゃった。
ファッションに関しては無関心に近い葵が、ここまで聞いてくるって
どれだけ違和感出しちゃってんだろう。