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唇に媚薬
第10章 狂う程、夢中

「変じゃねぇよ」

「………!」

「見惚れたし。
お前、何でも着こなせるんだな」


~~え!?///
な、何て言った……!?

予想していなかった返答で、俯きかけた顔をガバッと上げる。

そ、空耳?
聞き間違い?
だ、だって葵がそんなこと言うわけが……


「~~~! わわっ!」


突然、葵の両手に体を持ち上げられたかと思うと
シンクの横に続く、天板の上に座らされた。

驚く暇も無く、膝を左右に割られて
葵の体がさらに近く寄ってくる。


「……あ、あお……」


視線の位置が逆転。
いつもの深い瞳が、私を鋭く見上げてきた。


「単刀直入に、ダセェこと言うけど」


低い声に、ドキッと心臓が跳ねる。
葵の左手が私の腰に回って、薄手のニットを引っ張られた。


「この格好が、俺以外の誰かの為にしてるんだとしたら」

「………!」

「……なんて想像しただけで、気ぃ狂いそうになってる」

「~~~!///」

「……どうにかしてくれよ、ドン引きな嫉妬心」

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